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教育技術法則化運動論1


1 「教育技術の法則化運動」とは何か?
 全国のすぐれた教育技術・方法を集め,検討し,修正し,みんなの財産にしていく運
動です。
  これだけではありませんが、一言で言うとこうなります。

2 「教育技術の法則化運動」の四つの理念
 私たちの研究会には四つの大きな理念があります。次の通りです。

 @ 教育技術はさまざまである。できるだけ多くの方法をとりあげる。
(多様性の原理) 
 A 完成された教育技術は存在しない。常に検討・修正の対象とされる。
(連続性の原理)
 B 主張は教材・発問・指示・留意点・結果を明示した記録を根拠とする。
(実証性の原理)
 C 多くの技術から,自分の学級に適した方法を選択するのは教師自身である。
(主体性の原理)

  なぜこのような理念が出てきたのか詳しく述べたいのですが、一つについてだけで
も長くなってしまうので、別な機会に述べさせていただきます。
  ただ、子どもたちにとって「価値ある教育」を教師が提供できるようにするためにある、
ということだけは言っておきます。
 子どもたちに「価値があり」、「効果がある」教育を創り出すために、この四つの理念は
あるのだとお考えください。

3 教師としての力量・授業の力量を上げるために
 教育技術の法則化運動はこれまでに、教育界にたくさんのキーワードを提起してき
ました。
 例えば「追試」です。例えば「上達論」です。
 このようなことは法則化運動以前には、あまり「話題にされなかった」ことです。
 「話題にされなかった」と書いたのは、個々人がその必要性や有効性を感じながら
も、公の場では あまり話題にされず、大々的に取り上げられることがなかった、という
意味です。 
 この二つのキーワードとも、私たち教師のために示された言葉です。
 どうやったら教師としての力量や授業の腕を上げることができるのか教師は日々これ
に悩みます。そして、うまくいかないことが多いです。
 暗中模索の状態です。悩みは続きます。
 子どものことを思い、自分の力量をあげたいと思っている良心的な教師ほど、こ の悩
みは大きいです。
 
 これに対し、上達への道筋を示し、「こういうことをこれだけやったら、これでけのこと
はできるようになりますよ。」という具体的な方法なり、原理原則なりを示 したのが「上
達論」です。
 その上達の方法の一つが「追試」です。上達の方法としては、大変優れています。効果
があります。
 このような上達の道筋を法則化運動は示してくれました。

 ここから先は、私たちの研究会の代表である向山洋一氏の言葉を借ります。
 
   この先生は研究熱心な人です。本もいっぱい読んでいます。
   でも,その先生が読んだ本の中には,求めたものはなかったので
  す。
  「授業の力量をどう高めるか」などという論文の中には,たとえば次
   のようなことが書かれていたのです。

   「愛情と情熱が大切です」
   「自分の授業から学びましょう」
   「教師の技術は苦労して盗むものです」

   これは確かに大切なことです。
   でも,あまりに漠然としています。一体何をしたらいいのか分からな
  いのです。
   手のつけようがないからです。

   まず何をしたらいいのか。次に何をするのか。それをどのくらいや
  ればいいのか。その結果,どの程度の技量が身に付けられるか。

   こういうことを求めていたのです。

   自動車の運転技術を身に付ける時を考えれば分かりやすいでしょ
  う。
   自動車の運転技術を教える人は「愛情と熱意が大切です」とか「技
  術は盗むのです」とか言いはしません。
   「どのような練習を何時間くらいやれば,このくらいの技術は身付
  けられる」ということが,はっきりとしています。
   そのとおりにやれば,多少のちがいはあっても,誰でも一応の技術を身に付
  けられます。
   ところが,教師には,そのようなステップがないのです。
   無免許で運転しているようなものです。(途中略)
  (途中略)およそいかなる仕事にも「一人前になるための修行の方法,学習
  の方法」はあるのです。
   ところが教師の世界には,それがないのです。

   本書は「どうやったら教師の腕があがるのか」「何をどのように努
  力していけばいいのか」という疑問にこたえようとしたものです。
   今までの常識的方法を示すと共に,「定石を身に付けて技量を高
  める」という上達の法則を示したものです。

 ◇ 以上は、「授業の腕をあげる法則」(明治図書)のまえがきからの
   抜粋です。
   この本はベストセラ−となり、教育界では異例の出版して半年で二
    「この本は、『授業の腕をあげる法則』というより、『事業の腕をあ
     げる法則』です。私たちの会社でも十分に通用します。」

 このようにです。
 日々悩む教師に対して、教育技術の法則化運動は、その具体的な解決策を示してくれ
ました。
 その中の一つが「追試」であり、「上達論」というものです。
 また、先に紹介した著書の中には「授業の原則十ヵ条」というのがあります。「このように
授業行為 は行うとよい」という授業の原則を
    
    第5条=所時物の原則
    第6条=細分化の原則
    第7条=空白禁止の原則
    第8条=確認の原則
    第9条=個別評定の原則
    第10条=激励の法則
 
 詳しくは先の著書の中に説明されています。
 具体的な場面でどうすることなのかが詳しく説明されています。
 この原則を意識して子どもたちと接するだけで子どもたちの動きが劇的に変わったなどとい
う声も聞かれます。
 法則化運動について知るには最適の本です。それ以外の部分でもお勧めの本です。

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